嵐の戦い(キャノンボール参加の記録)

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先日の台風の中、僕は山道を走っていた。手足の末端は痺れ、靴は靴下まで救いようもないぐらいぐちょぐちょ。このままだと足底にえげつない豆が出来る可能性もある。

久しく忘れていた酷さ

自然と僕の頭には

機動戦士ガンダム第08MS小隊 嵐の中で輝いて

がずっとリフレインしていた。

 

六甲全山縦走路キャノンボールラン。誰が一番縦走を速くクリアするか?そんな僕の地元神戸の天下一武道会のような大会がある。そして、この大会は山の神様の怒りをかっているせいか天候が荒れることが多い。今回はそのなかでも台風の中の開催となった。軒並み正規のトレラン大会が中止するが、キャノンボールは普通にやる。

 

以前参加した際も雨で、昔から悪条件で六甲山を歩かされているので気にならなかったが、さすがに棄権する人が多くいたが、長年参加している猛者はものともせずクリアした。

 

僕も上位陣の後を必死について行った。そんな嵐の大会は酷かったが、走っていると不思議と心地いい感覚が出てきた。

 

「もうだめじゃ、先へいってくれ」

5人が縦列で山を登っていたが、急に前の年配者が音をあげる。あれほど速かったが、崩れ落ちるように路の脇に倒れこむ。一人、また一人と消えていく。気が付けば後ろを走る人の気配もない。こんな山の中、ついに独りになった。

 

頂上付近の尾根は尋常なく荒れた風が襲う。こんな絶景を肌で経験したら、どんな映画でも満足できなくなるな。そう感じるほどであった。

 

嵐を越えて森に入ると女性が立っていた。ん!?なんでこんなところに人?

あ!エイドステーション

 

 

こんな豪雨の中、女性がビールサーバをもって配ってくれる。めちゃくちゃだ。

これがキャノンボールという大会だ。参加者もサポートもまともではない。

戦場の前線基地。一杯ビールを引っかけて、ランナーは戦場へ旅立っていく。

 

そんなとっくの昔に忘れた戦場感を思い出させてくれた大会でした。