街を愛して愛されて

”ねぇ、いつ帰ってくるの?”


僕は神戸三宮、元町の街をつくづく愛しているのだなと今更ながら気づく。そして、相思相愛のようだ。今日神戸を離れようとしたとき、生田さんに服の後ろをギュッと引っ張られて、そう言われた気がした。

もう街がすっげーいい女に見えてくる。街を擬人化して女の子の特徴でみえてしまう。やっぱ神戸三宮はいい女だ。”大阪さん”はおせっかいやし、”京都さん”は人見知りだけどミステリアスな魅力がある。
そこでなんてったって、この三宮の生田神社は若い女性の神様が祭っているのだ。なのでこの街は本当に女の子なのだ。かなり嫉妬深くてさびしがり屋である。
そんな、神戸の神”生田さん”が憑いたのかと思うぐらい、同じ言葉を言う。
生田さんは僕の周りの女の子を通して、口を借りてこう言うんだ。

『でさ、いつ帰ってくるの?』

 あまりにも様々な人が同じことセリフを言うものだから、これは神の言葉だろうとか思えるようになってきた。