酒場の朗読会
先日、ワイン酒場ボクモで友人と食事をしていたら、朗読が始まった。これは新しい!と感じた。
酒場の催しなんて誰も聞いてない。しかし、そんな雑踏の中で偶然耳に入る音こそ価値があると僕は思う。
酒場でジャズとかバンドが演奏していと「聴かなきゃ失礼」と言う人がいる。先日の花見で、バンドが偶然演奏していた。しかし周りは好き放題話していた。それを見たある大学生が「とても失礼じゃないですか!内心あの人達はらわたが煮えくり返ってますよ」と僕に言ってきた。しかし僕は「その程度で怒るようじゃエンターテイナーなんて辞めれたらいい。自分のパフォーマンスで注目させられる力があってこそ」と僕は大学生に諭した。
読んでいたのは『野ばら』だれも聴いちゃいなかったが、僕は無視できなかった。国語の教科書でだれもが一度は読んだことある話だった。
ストーリーは国境を挟んで友情を深める若い騎士と老人の話。お互い敵国であるが、その話には”色や風があった”(表現し辛いが、この物語の文章は美しい余韻と力がある)
一瞬で忘れてたものがフラッシュバックして吹き返す。
”黙礼”だ!僕はこの国語の授業で初めてこの”黙礼”という言葉を覚えたのだ。先生に黙礼の意味が解らず、何度も国語の先生に実演してもらった事を思い出した。
最後のあたり青年が何も言わず老人に黙礼をして去って行くところが、なんとも気になったのだ。この情景の表現に私はゾクッとしたのだ。大人になってもそれは変わらなかった。
今、大人になって改めて全文を読むの何故か涙が出てしまった。