アルジャジーラトークに行ってきました
アルジャジーラトークというイベントに参加しました。
参加理由は、思いつきです。旅人として中東に関して僕は少し興味があり、中東の面白話が聞けるかな?って言う程度でした。そういえばアルジャジーラってあったよね。中東のコアなネタをすっぱ抜く、カタールの放送局。ぼくは恥ずかしながら前後知識がそれぐらいでこのイベントに参加しました。今日はイベントで印象に残ったことを書こうと思う。
アルジャジーラトーク
最初で最後の日本人研修生(2013年4月)として現地で研修を積まれたジャーナリストさんをお呼びして、アルジャジーラのあれやらこれやらを根掘り葉掘りお聞きします。
【内容紹介】
アル・ジャジーラで研修した思い出を紹介します。オサマ・ビン・ラディンの犯行声明やエジプト革命生中継で有名になった同社ですが,その組織と内部は日本ではほとんど知られていないと言ってよいでしょう。ビザの関係でたったの4週間の研修でしたが,日本人として初めて同社に常駐したという経験は,ジャーナリズムを専門とするボクには貴重な財産です。研修部署となった「アルジャジーラ・メディア訓練開発センター」は,さらに日本では知られていないでしょう。ボクはここでstudentではなくstaffとして研修するという立場でした。コースワークではなく,一段高い位置からこのメディア学校を経験できたのは幸運です。アルジャジーラを窓にジャーナリスト教育を考えます。【略歴】
藤吉隆雄
ふじよし・たかお
名古屋大学 産学官連携推進本部 特任助教
あいちサイエンスフェスティバル コーディネーター
千葉大学工学部画像工学科卒。早稲田大学大学院政治学研究科修了。スチールカメラマン経験18年,科学技術ライター経験8年。世界科学ジャーナリスト連盟の傘下各国協会交流によりカタール・アルジャジーラTVにて研修。同社日本人スタッフ第1号。現在は,愛知県全域で毎年10月に開催している「あいちサイエンスフェスティバル」の16機関連携ネットワーク事務局を務め,年間約60件のサイエンスイベントを自らも企画・運営する。専門は科学技術ジャーナリズム/サイエンスコミュニケーション(のふりをしている?)。
藤吉さんの印象は、アウトドアで酒が好きそうなおっさんという感じでした。そして、数多のきわどい現場を潜り抜けてきた、声のデカさが印象的でした。
アルジャジーラとは?
話の内容はアルジャジーラの研修の話だが、そもそもアルジャジーラとは?という話から分かりやすく説明してくれた。中東の産油国というのはもし、石油が無くなったら、掌を返したように誰も相手にしてくれない事を理解している。そこでドバイなら中東の自由港としてのコンセプトを建てたが、同時にカタールもいろいろ考えたようだ。カタールがユニークなのは報道によって国の価値を上げるという、前代未聞のコンセプトであった。
町おこしとかで苦悩している。地方自治体の事が頭をよぎったが、そんな規模と比べられない壮大な話である。まず、日本なら報道で国の価値を上げるってなんだ?そんなの効果あるのか?って議論になって、不確かな計画にGOなんて出ないだろう。
しかし、アルジャジーラの凄いところは、カタールの首長たるハマド・ビン・ハリーファ・アール=サーニー(ハマド首長)のポケットマネーで設立されていることである。規模がわけわからない。まるで家かったよ。とか車かったよ。という具合にポンと作っちゃったのだ。これじゃ誰も文句は言えない。しかも、ポケットマネーで設立してオーナーになったのに、報道内容に関してはオーナーは一切介入しない。もし、介入した場合は社員全員が辞表を提出するというルールらしい。しかも報道で何かトラブルや他国ともめ事を起こした場合はカタール政府が責任をもって事態の収拾にあたるという。
ここまで公平な環境を整備するって並大抵の事じゃない。現にアルジャジーラはアラブの敵とされるイスラエルだけでなく、仲間と言える多くのアラブ諸国ともいざこざが絶えない。アメリカに至っては、連日のアルジャジーラ空爆作戦の計画まで立てていたらしい。今となっては立場を180度変えてオバマ大統領はアルジャジーラを絶賛しているらしい。それにしても何とも怖い国だアメリカは。
で、アルジャジーラはなんと毎年大赤字。その大赤字をどうやって補てんしているかというとこれまたるハマド首長のポケットマネーで毎年補填しているらしい。どんだけ、心がでかいんだハマド首長は!
中東アレコレ
中東といえど、アルジャジーラで働くマネージャーやスタッフは欧米で教育を受けたエリートが支えている。ドクター過程を終了している者が多いそうだ。それにしても、自分の専攻に関係ない仕事を、平気でやっているのが凄いところだ。医者や化学のドクターまでとっていてフジテレビとか日本のテレビ局に勤める人っているか?
印象に残った言葉として『ムスリムはイスラームじゃない。日本こそイスラームだ!』
という言葉だった。これは、似たような言葉を中国でも聞いたが『本当の共産主義は日本にあった』というのに似ている。その心はというと、今のムスリムは、ラマダンのとき日中は食事しないが夜は食いまくる。もうどんちゃん騒ぎだ。そして、夜消費しきれなかった食事は捨てられるそうだ。そもそもラマダンというのは、ご飯が食べられない貧しい人の気持ちをみんなで考えよう。ご飯の大切さを実感しよう。というイベントである。それが今本末転倒で矛盾状態になっている。イスラムが本来持つべき”つつましさ”が失われていることが嘆かれている。一方日本は、”もったいない”という意識を持って無駄な消費を控え”つつましさ”が美徳とされている日本こそ、イスラムの考えを体現しているといえるそうだ。その話を聴いて複雑な思いであった。
宗教や共産主義という強いイデオロギーを抱えても、理想社会にはほど遠く、多くの犠牲と努力を費やしてもうまくはいかない。それなのに、そもそも無新教の日本人がそれをできるというのはどういうメカニズムなのか?世界の人は不思議だろうと思う。
所感
ジャーナリズム論とか報道論とかまったくの専門外でしたが、今回興味を持つ入り口になったと思います。僕は全く仕事に関係ないことばっかやっていて、何処を目指いしているの?って思われるかもしれませんが。広く興味を持つことに心のまま行動することに意義があると僕は考えている。知識の収集や勉強が仕事のためだけしていないと、つまらない人間になってしまうと思う。その国が好きだからっていうただそれだけの理由で外国語を勉強する。そんな純粋な知識の探求を大切したいと思っています。