森へ行きました


うちの実家から北へ行けば山へ入れる。
昔はエビもいたしカニもいた、おけらだっていました。
野犬もいるし、えたいの知れない何かがいた森
夕暮れ、ふと何を思い立ったか私は一人で森へ入りました。
それも吸い込まれるように
『名水の森』
そんな名前がついているなんて初めて知った。入り口には見慣れない看板が立っていた。
ここまで来ると緑が濃い。奥は薄暗く、ぞわぞわとしたよくない気配がする。普通は一人で森には入らない。しかし、この森は私が長く過ごした森だ。中学では毎週森りに入っていた。久しく忘れていた感覚。だった。


日没まではあと2時間


森は荒れていた。草の茂り方から、誰も最近入って来ていないようだ。野営の跡もほとんど無い。最近の連中は山に入らないようだ。
よくわからん宗教の人たちの建物は全て撤去され、手入れする者がいなくなったお堂とお地蔵様
勝手に畑を作っていたお年よりも、もういない。
市の土地を不法に使っていた人たちだが、そのような人たちがいなくなった山は、酷い荒れ方していた。
あの人たちが、山と森と対等に付き合っていた。そう、森を手入れしていた
森も元気だったが、今は不気味さが増している。市の職員は森を手入れなどしない
不気味で薄暗く、明らかに森は怒っていた。つーか暴走している。



ベースキャンプだった場所は背の高い草むらになっていた。そうか・・・水が枯れてしまったんだ。かつて川だった場所は砂地になっていた。川が地下にもぐってしまったか。見覚えのある木だ、昔あの木の上で寝たなぁ
じき日が沈む、日が沈むとこの森は人の支配から外れる。人がいるべきではない場所だ。
とてつむなく、孤独の気配が遅い、真の闇に本当の恐怖を感じる。最近の子供なら発狂するな・・・
さて、日没までに森を出れるかな ふふふ