正確な記録が品質管理の第一歩

 品質という言葉を聞いた時、ある人は傷のない美しさをイメージし、別の人は故障がないというイメージを持つ。人によって捉え方が多様であるだけに、高い品質を実現するには、当然高い技術力が必要になる。

  品質、生産をコントロールする技術と、新しい製品や機能を開発する技術とは、峻別して考える必要がある。前者は一般的に管理技術と言われるものであり、後者は固有技術、開発技術と言われるものである。品質で競争するということは管理技術の競争であり、簡単に言うと不良品を作らない管理のための技術の競争である。

  高品質を維持する手法はいろいろあるが、私の個人的な手段と考え方を簡単に説明しよう。

  第1に必要なことは、不良品が生産されない最高の設備を使うことである。設備が良くても不良品が生産されることはあるが、設備が悪ければ100%不良品となる。

  第2に、正しい作業標準を定め、これに基づいて作業を正確に行う。材料の受け入れ、加工の手順、作業の都度の確認…。そして測定したデータはすべて記録しなくてはならない。この記録により品質の傾向を判断し、必ず規定の範囲を維持しなくてはならない。

「格言」 刻々と変化する品質の実態を正確に記録し、その傾向を判断する。これが品質管理の第一歩である。