ぶんなぐる女の話
ある小説に、中国人が握り拳をつくって威嚇するジャスチャーが描かれていた。
僕は過去にそれを見た事がある。今日はフラッシュバックのように思い出したその情景を、書いてみる。
そのむかし、僕は若い頃上海のクラブにいた。ここは地元上海っ子が集まるクラブだ。同じ宿の誰かがナンパした女の子から情報を聞いて、なんとか地元民が集まる場所を見つけたのだ。
深夜のクラブで踊る若い男女、そんなときガシャーンとグラスが割れる音。
ケンカだ・・・
周りに取り巻きが出来始める。「中国では喧嘩や暴力に関わるな」ということを宿の連中にクギを刺されていた。なんでも後で団体で仕返しに来る事が定番だそうだ。
そんなこんなで遠くから眺めていた。
青い綺麗なドレスを着た美人。スリムで色白で芸能人クラスの美人だった。しかし、そんな美人のキレかたが半端じゃなかった。目の前に拳をつくって、全力で大声でキレている。たぶん誰かがセクハラでもやったんだろう。そして、
あ・・・ぶんなぐった
そう。女はきれいな身なりを気にせず拳で周りの男ぶんなぐり始めた。乱闘がスタートである。女は身をかわしながら1対多を相手にして、乱闘を始めたそれが、衝撃的に美しかった。ドラマでも見てんじゃないだろうか?
そう思える場面だった。
その後どうなったか、イマイチ思い出せない。