男はかくあるべき
・・・・トリスティン?おお!もしかしてトリスティンじゃねぇえかい!?
「久しぶりだね」
その男はノートパソコンから顔をあげて挨拶した。
はじめは気が付かなかったが、その男はまぎれもなくトリスティンだった。そう、かつて飲み歩いてた仲間の一人だ。
なぜ、気が付かなかったか?それはヤツの顔がマジだったからだ。
髭に金髪(前にあったときより少し痩せた)そして、その目はいつもの緩みきった顔でなくノートパソコンを真剣に睨みつける顔は、明らかにマジだった。男が戦いでる本気の顔だ。あの女ばっかり口説いているヤツにしては考えられないくらい、オーラが出ていた。
「なにしてんの?」
そうやってパソコンを覗き込むと・・・久々に見た積分の式がびっしり書と英語の文章がびっしり書いた、かなりイカした論文を書いている。(そうだった、コイツ本職は数学者だったな)
「インテグラルや演算記号なんて久々に見たぜ・・・すげーな」
「でしょ、もうすぐ修士論文提出しなくてはならないからね」
ああなるほど・・・
何故か俺の友達はこんなやつが多い。
普段、夜会うときはバカであるが、本当はかなりみんなデキる。
二人で歌舞伎町でバカやっていたアイツは、昼間は外務省でなんかの条約文を創っている。
以前、まで飲んでいたアイツは、国際資本と共産主義、国が与える国民の保障について、国連で発表している。
で、彼は今なんか、世界の難関理論の証明に挑んでいるワケだ。
みんな、アホほど酒お飲んで、女を口説いて、バカをやる。昼間は誰もみた事無い鋭い顔で何かしているだろう・・・・
男かくあるべし。