JAXAのおじさん
今日は野暮用で丸の内に来ました。
平日で仕事で来る用事以外では初めてです。
休日の丸の内も悪くない。
忙しい背広姿のサラリーマンが姿を消し、ビルまるで安らかに寝ているように静かだった。
用事まで、コンクリートの中で健気に生きている木々にもたれて休日の都会を楽しいんでいた。
散歩していると丸の内オアゾの中にJAXA(独立行政法人宇宙航空研究開発機構)のショールームがあった。
(へぇーこんなところにあんだね)
暇なので入って月の石なんか眺めてました。
すると、
「ご説明しましょうか」
と職員らしき初老の人が声をかけ来た。
暇だったので、説明を聞いていた。
こういう時、私の昔の悪い癖が出てしまう。
それは何かわからないこと、もしくは相手が知らなさそうなこと質問して突っ込んでしまうことだ。ところがだ・・こっちが科学的センスがあると思いきや、ガンガン解説、ビシバシととんでもなく細かいところや、原理まで教えてくれた。
「よくご存知ですね」
「ええ、これの原型は私が設計しましたから」
・・・・・・・・
「え!?」
この感覚・・・間違いなくこの人は教授クラスの一流研究者で
おそらく論文も多く執筆し、心から科学を愛している研究者だろう。
そんな方がなぜこんなショールームで説明員をしているのだろう?
聞くところによると、独立行政法人化、折からのH2ロケット打ち上げ失敗、それによる経費削減は予想以上に厳しいそうだ。そこで、研究は若い人間に譲り、年寄りはここで少しでも一般の人方々に科学や宇宙に関心を持ってもらうため、日夜説明を続けているそうだ。
まったく、どこぞの大学で、イスに踏ん反り返って威張っている教授とはえらい違いだ
給料はかなり安いそうだ。
一生を科学の発展に骨身を削ってきた科学者に国からの仕打ちである。
でも、彼の目はまだ死んでなかった。こんな仕事だからといって腐ってはなかった。
そればかりか、未だ宇宙に憧れを抱き、未知の世界を本当に知りたいと生き生きしている。
現在、理系研究者をとりまく環境は決して良いとは言い難い。
国、社会の人々はにお願いです。
こんな質素で謙虚な日本の研究者の人たちを大切にしてしてください。
お願いします。
JAXAのおじさんにとても敬意を持ちました。
ロケットを単独で打ち上げるテクノロジーを持つ国って常任理事国より少ないんだぜ!