六甲全山縦走(逆走)日記
「ここで最後に立ちはだかるか!!」
六甲全山十走路(逆走)最後の関門須磨アルプス。家の近所でかつ私が小さい頃からずーっと親しんでいる山だった。
時間は午後6時もうじき日が暮れる。私の体のエネルギーは尽きかけていた。足は満足に動かず、体はまるで自分自身の言うことを聞かず、1歩足を出すのは、心の力だけだった。漆黒の闇に包まれようとしている馬の背に挑むこと。それは、冒険でいう最後のボスとの最後の戦いのようだった。
動け!動け俺の足!
7:15 宝塚温泉前を出発
体力は十分、中盤集団で上る。初めからかなりきついスロープが始まる。塩尾寺までアスファルト。そこから山道に突入本番スタート
10:20 六甲山山頂
かなりきつい登りが続くが、休みなしで一気に頂上まで登る。先は長い。一息ついて、歩き始める。まだ十分体力が残っている。
これから、しばらく登りはない
12:00 麻耶山菊星台
ここで食事をとる。お昼までに市が原までは行けなかった。六甲山頂上から平坦な道ではあるが、かなり長い道のりだった。
14:00 鍋蓋山頂上
麻耶山から市が原までは、かなりきつい下りが続く。市が原から鍋蓋山まで登り。ここから菊水山だ、一気に降りて、一気にあがる中盤の難所
難所前に休憩を取る。疲労が出てきてのぼりが辛い。ここでエナジーエイドを使う。
16:30 丸山市街地
雨が強くなる、レインコートを着る。冷たい雨は心が折れそうになる。市街地で自販機でコカコーラを買う。寒さと体中が汗と雨でぐしょぐしょ
体のぬれが体温低下を招き遠慮なく体力を奪っていく。休みたいが、休むと体が冷えてしまう。進むしかない。
17:30 高取山頂上
雨はやんだが、あたり一面白い霧。ホワイトアウト。視界がまったくきかない。風がビュウビュウ・ゴウゴウ。あのいつもやさしくて楽な高取山が怒っている。高取山の山神様スイマセン
18:00 妙法寺
もうじき日が暮れる。西の雲の隙間から真っ赤に燃える太陽が沈みかけている。
もはや、体に感覚がない。登りが進まない。『これからもう一山登るのか?俺はもう限界なのではないだろうか?』自問自答であった。
その目の前には最後の難所『須磨アルプス馬の背』が
正直やまを眺めて、泣きそうになった。
19:00 須磨アルプス
道を間違える。がけを垂直に登る。この闇の中をだ!
しかし、負けない。自分の力で動いていない。不思議な力で体を動かしている。
そこだ!!
僕らはがけを這い上がり、正規ルートに復帰した。そこで、先発集団に発見される。汗でぐちょぐちょのとんでもなく酷い姿だったらしい。
19:30 高倉台、おらが茶屋
ついに足が動かなくなる。 左うちももが、ピクピク痙攣を初めた。そしてうちももの筋が強烈に痛み始める。階段の衝撃に足が受け止められない。
痛み耐えられず、足が停止。階段の途中でうずくまる。
登るのも、降りるのも・・・もうイヤだ
足が動かないなら、手で強引に手すりを使って登る。頂上で手で足さすりながら回復を促す。
20:00 最後の伏兵
『街の灯だ!』
須磨の街の夜景が綺麗だった。明石海峡大橋を渡る自動車の流れが、綺麗にアーチを描いている。電力節約のために明石海峡大橋はライトアップされてないが、十分綺麗だ。しかしそのとき、一瞬の気の緩みが足もとをすくう。
雨で濡れた、石段の階段に足を滑らされる。一緒の判断で手をついてバランスを取ったが、血の気がひく一瞬だった。ここで大怪我をして動けなくなるわけにはいかない。最後の気の緩みが、一生ものの怪我になりかねない。
しかし、疲労は集中力を奪う
この階段はまったくグリップが効かず、4回ぐらいすべった。そのつど絶える。時間をかけてゆっくり下る。昼間のように降りることはできない。
足ももうバカななっており、指先の感覚が無い。
足首に力が入らず、踏ん張れない。
20:30 須磨浦公園
ゴール
しかし、ゴールは感動というより、解放であった。
ああ、耐え切った・・・
もう終わったんだな・・・もう僕は歩かなくていいんだな。
これで僕の最後の神戸でのイベントが終わった。これをクリアできたことは、自分自身を誇れる十分な内容だった。