その11
市場を一通り見たら、海を見たくなった。コックスバザールでは有名な海岸を見たが既に日が暮れていて、何が何だか解らなかった。そこで海岸まで歩くことにした。
→海岸
旅行人のバングラガイドの地図にはそれだけが記されていた。そもそもテクナフの情報なんてほとんど無い。私はその→に従ってその方向に歩いてみた。田舎の牧歌的な風景が左右に広がり、歩くのは苦にはならなかった。
子供が元気な国だ、元気な子供を多く見れば見るほど日本の現状を憂いてしまう。
ただでさえバングラデシュでは外国人がいないのに田舎となると、私を見る目は宇宙人でもみたような反応だ。子供ぽかーんと口を開けたまま、私をただひたすら眺める。何なのか認識がつかない模様である。大人にしてもそうだ、珍しいので道行く人に凝視される。そのうち度胸のある人は声をかけてくる。
『ハローどこからきた?』
この辺は慣れてきて適当に答えて流す事が出来るようになった。この田舎道の散歩でもスターにでもなった気持ちでハローといいながら歩いていた。
1時間ぐらい経っても海なんて全く見えなかった。さすがに(まだ着かねぇのか・・・)と思えてきた。歩くべきか?リキシャを拾うべきか?帰りは絶対乗って帰ろう。そう悩み始めたとき。
客を乗せたリキシャが私を追い抜いていった。
客は私を見た。(凝視である)
もう一度見た。(二度見である)
私と目があった。男が二人リキシャに乗っている。・・・その男の顔を見て俺は思った。(イケメンだなぁ)
さらにもう一度見た(三度見である)
そこでもう、気になってしかなくなったらしく、リキシャを急激にUターンさせて私の前までやってきた
「どこから来たの?」
「日本だ」
「なにしてるの?」
「旅行だよ」
「何処へ行くの?」
「海を見たいんだ・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・乗ってくかい?」
「いいの?じゃ遠慮無く」
そんな流れで、私はリキシャにかなり強引に乗っけてもらう事になった。
(はぁー簡単にナンパされたなぁ・・・)