ホシヨミノ魔女

(注:今日の話はフィクションです)

 北野坂を上がって交差点の門を曲がる。昼間でも夜でもその存在に気が付かない、狭い雑居ビルの階段を下りる。降りたすぐそばに、モップとか入ってるんじゃないかと思える小さくてそっけない扉が階段の裏にある。
(さすがにいっつも躊躇するよなぁ)
そう思って扉を開くと、年齢不詳の高級クラブのママみたいな女性が机に座っている。
「あああ・・いらいっしゃい。いつぶりかしら?」
「こんちわ・・・さぁ・・この街に来た時だから3月ごろかな」
「ふーん。星落ちね」
「ええ星落ちです。」


スティービーワンダーがいいの、これ、3番のこの曲どうよ
ああ、きてますね
レゲエバージョンがなんともよくてね
このCDもイケテルのねん5番の「ダンス・ダンス・ダンス」つーのが・・
な、これええっしょ
このサビ・・・ここやで
机の引き出しぜんぶCDじゃないっすか!レゲエ、ヒップホップ、ジャズにクラシックやりますねぇ
「でわぁ○○君のリクエストでお伝えします・・・サラブライトマンのアベ・マリア聞いてください」
「DJかいっ!」
(一人乗り突っ込みしてる・・・ああやべ)
「何言ってのアベ・マリアだけでも10以上持ってるはよ、ちなみに私の歌ってるCDもあるでぇ」
「え!」
「こう見えてもジャズシンガーなんよぉ、結構売れてるわよ」
「え!そうなん本職は魔法使いちゃうの」
「ま、両方とも本職」
「音楽キチガイにつまかったんや諦めて覚悟しいやぁ・・・」
ととっかえひっかえCDを聞く事1時間以上

「そろそろ・CDかけんと仕事ぢろって、もう・・しつこいっちゅーねん」
(また、ひとりで乗り突っ込みしてるよ・・)
「ええと本題やな・・ちょっとまってやぁ」奥の扉を開けると、ずらりと本棚広がって・・無造作にルーズリーフ書かれたよくわからない情報。それが封筒に入ってぎっしり棚にぎっしり
「ゴキブリガァ!」
なんて騒ぎながら
ふーむ
「これやこれ・・・ふーむずれるね、今はまずいわぁ・・そういうことでそろそろいかなあカンで」
「え?」
「ほれもうすぐ電話かかってくるで」
(たしかに携帯が鳴った。星を見に行く誘いだった。)
「またおいで、エンディングにえーとこれかけちゃル・・・・ってしつこいねん」
(また乗りつっこみ・・・)