『神戸嬢』という人物像 街が生む典型的な人物像

今日は街の背景が生んだ神戸のお嬢様いわば『神戸嬢』という人物について僕の目から書いてみたい。神戸と言うがこれは『芦屋』の話である


 品のいいお嬢様は山手に住んでいる。金持ちはいつの世も人よりちょっと高く見下ろせる場所に住みたがる。『神戸嬢』は実のところ神戸出身の私でも、お目にかかることは少ない。いわば限られた世界に住むコンサバティブな人間である。同じ街を生きる人間でも接点がまったくないのだ。身分というかヒエラルキーみたいなものが存在する。今回語る『神戸嬢』(中流よりちょっと上)の神戸でありがちな生い立ちについてである。


 人間関係が僕ら平凡な公立高校出身者とつながらない。接点が会ったのは小学生までである。なんか品のいい子に掃除をサボったことを先生にチクられたことがある。そんな女子が公立中学行ったとたん忽然と消えてしまった。その後、同じ街に住んでいるにもかかわるず、一度も会うことはないのだ。

 神戸人の身分の分岐点は、そのまま公立中学校に行くか、中学受験を行って私立中学に行くかで別れていた。もちろんええとこの子である『神戸嬢』は私立に行く事を運命づけられる。なぜなら、公立中学校に行くということは、当時それはスラムで生きる事を意味していたからだ。下街の中学校は男子は強制的丸刈りというアウシュビッツ並のルール(校則)が敷かれる。女子もそれなりにくだらないぐらい厳しい校則がある。それよりもたちが悪いのは、シンナー、煙草、喧嘩がはびこる環境であった。『ええとの子』も『荒事が苦手な子』がそんな環境に耐えられるわけでもなく、必死に勉強して私立に行く。しかし、それでもいけない子はいじめの対象に落ちる。理不尽な世界を生き抜いてレベルの高い公立高校まで進学する。

 で、そのええとこの子は私立の中高一貫校で牧場のように良質な教育を受けて育つ。しかしここも楽ではない。周りの子も高所得家庭が多いので変な事はしないのだが、苦労しない故のタチの悪さがある。庶民感覚からねじ曲がった世界が存在する、これは親もかなりヤバいため手に負えないケースがある。特に女子の世界はえげつない。ここで私立中高一貫校に入ったのにわざわざ公立高校に入学しなおす子(亡命女子という)がいる。雲の上の世界も楽ではないことを後に亡命女子から、切実な話を聞いてゾッとした思いがある。そんな世界を多感な女子高時代で過ごすのが『神戸嬢』である。

 次に大学受験がある。しかし『神戸のお嬢様』は独りで東京の大学に進学する根性があるわけではない。その気がある人物は『お嬢様』と揶揄される対象を振り切って自分で人生を勝ち取る人生を歩むことになる。かくして神戸のそこそこ偏差値が高い女子大に行く。なぜか、共学の甲南大学があるにもかかわらず、甲南女子大学があるのはそういうことである。高校時代の女子社会をひきづっているので、品はいいがある意味世間から外れている。僕は悪名高き『南女』と忌み嫌っていた。ここまで来ると『神戸嬢』というよりセレブだという妙な自意識があり人を上から目線で見るようになる人物もいる。セレブと言うが、『何に選ばれたのか解らないかわいそうな人たち』と僕は言って中指立てて縁を切った記憶がある。

 さて大学を卒業した『神戸嬢』何処へ就職するのか?一番人気は銀行である。仕事に手堅さがあり、無理しないから親から見ても安心して就職させれるからだ。しかも旦那候補がわんさか。銀行という組織もこの手の身持ちが固い女子を好むので、もう双方がっちりニーズが合っている。で、めでたく行員と結婚。彼女たちの戦いは、ママ友、セレブづきあいに移る。


とまぁステレオタイプの『神戸嬢』を書いてみた。

で、小学校から20年以上過ぎた今、なぜかその『神戸嬢』が僕の前にあらわした。どうやら一昔前の世界なら成立していたステレオタイプの生き方も、今の世知辛い世では機能しなくなったようだ。ずいぶんいろんなものを彼女は”こじらせていた”