絶対美人

最近、心躍る美人を見ない。多分僕も老いたので、感受性が鈍くなったと思っていた。昔感じたシャープな感性を失ったようだ。女性を見たときに感じる色のイメージとか、ビビっと感じなくなった。いつしかそんな感覚も忘れかけてしまった。
しかし、飲んで帰った終電に近い列車で僕は見てしまった。酔いが覚めるほどの美人を


それを絶対美人と言う


JR神戸線だった。
その女の子は少し茶色に染めたショートボブ。目はくりくりしていた。ハーフと言っても通じる顔立ち。とても若い、顔は幼さが少し残っている。
服に青いワンピースを着ていた。体のラインにスッキリ合ったワンピース。白い肩が出ていた。
胸は小さいが、形が芸術的な曲線を描いていた。


ほぼ酩酊状態だった私は一気に酔いが覚めた。戦慄すら覚えた。
彼女は次の駅で降りた。ただ僕はその後ろ姿を眺めるしかなかった。


その後、考えた。あれはいったいなんだったんだろうか?酔いが覚めるという生理的現象が、幻でなかった事を証明する唯一のものだった。絶対美人とはそういうものだ。
絶対美人は顔が綺麗だけじゃない何かがある。強烈に印象に残す何かがある。
彼女の場合、服の形と体型に一切の無駄がなかったのだ。今まで見たワンピースはワンピースではなかったのか?
今の女子はしっかりとワンピースすら着こせないのだろうか?そう考えてしまうぐらい美人であった。