奇妙な店のはなし
自転車で散歩していたとき、ん!・・・あの店気になる。
その建物から異様なオーラが出ていた。
これは、喫茶店なのか?ちょっと早いけどランチにでもするか
この建物、リアルのに古いな。古く見せかけた建物じゃないな
入り口にウサギの人形が
『南フランス風 喫茶レストラン』
そこ南フランス料理レストランでよくない?
店に客はいなかった。まぁ11時過ぎだからランチには少し早い
なんか不思議な雰囲気がある。誰もいないのかな?
すると店の奥から、店員の声がした。『いらっしゃいませ、お好きな席へ』
座って待っていると、足が不自由な老婆が、ブリキの兵隊みたいなカクカクした動きでやってきた。ここの店の店員のようだ。
(こんな年寄を働かせて本当に大丈夫だろうか?このお店)
奇妙な事に、この店はこの店員以外人気がしない。
「サービスランチのハンバーグをお願いします。」
「はい、ただいま」
その店員の後ろ姿をみていると、私は地雷を踏んだのじゃないかと不安になってきた。
サラダとスープ
「スープは熱いのできをつけてくださいね」
味は悪くない。サラダは、酢と胡椒だけのシンプルなドレッシング。懐かしい味だ。昔の洋食屋のサラダはこういう感じだった。
僕はハンバーグを食べた。
凄くやわらかくておいしい!!
このハンバーグ、火の通し加減が絶妙なのだ。かなりの出来がいい洋食だ。鉄板の上でカリカリに焼けばいいという、間違った見解のパサパサなハンバーグとは違う。
(あのばあさんだけで作っているのか!?)
「デザートをお持ちしました。今日はチーズケーキです」
コーヒーも美味い・・・
ケーキも手作りだこれ。くど過ぎず、家庭で作った感じのちょうどいい仕上がり。
僕は呆気にとられた。多分あの老婆、全盛期は名シェフだったに違いない。そう僕は感じてきた。今も十分美味しいですが。
そうこう食べていると、正午ぐらいになり、客が徐々に入ってきた。
(なんだ結構人気の店なんだ)
安心もしたが、心配にもなった。あんな足が不自由な状態で働こうなんて・・・そんな明らかに弱弱しい老人を働かせている感じに気が重かった。ランチタイムの混雑を回せれるのだろうか?
たぶん手伝いの人が、本当はいるはず。そう信じて僕は店を出た。
南フランス風 喫茶レストラン うさぎ
【住所】 名古屋市西区平中町28
何故かグーグルマップにも載っていない。もしかしたらあの店は幻かもしれません。