街からの愛情表現

チュ

手の甲にキスされてしまった。イケメンに


こいうのどうリアクションしたらいいのだろう。あまりにも唐突すぎて笑うしかなかった。ただ照れるしかしかなかった。うら若き乙女のように・・・


いやまて、


俺はおっさんだ!30超えたおっさんだ。
キスするなら連れの女の子のほうじゃないの?
それは、ランチ時で混雑するベトナム食堂での出来事だった。





(うーん今日も美味い。)
タン・カフェいつもお昼の繁盛店タン・カフェその繁盛理由はシンプルに味と接客である。

 神戸以外の街で気が付いたのだが、ベトナム料理一本勝負の店ってそれほど多くなく、アジア料理としてタイ料理と一緒にされていることが多い。有名な生春巻きは最近ふつうの居酒屋でも出してくるので、ベトナム料理な気がしなくなってしまった。ベトナム料理は優秀であるが、なぜかメインで出てこない性質がある。どこでもそれなりに美味いのだが、それゆえ本当おいしいベトナム料理を出す店は、意外と少なかったりする。
 タン・カフェはベトナム人のタンさんのお店。もちろんベトナム料理の一本勝負。定番のメニューから、日替わりでいろんなのを出している。しかし、純粋な現地味ではなく、味付けは客のために非常気を使っている。関西人の要求の高い舌に合わせている。なので美味い。

中部のフエで食べられている、味付けのフォー(上写真)豚足がトロトロ。豚足なんて料理するのすごい手間なのにね。
 昔ワタリガニのパスタみたいな麺を食べたが、実に美味かった味は間違いない。
シェフもウエイターもみんなベトナム人。日本語は怪しいが、なぜかタンさんを筆頭に若いイケメンが多い。


タン・カフェができたころはよく行った。オーナーのタンさんとよくしゃべっていたものだが。今日は4年ぶりだ、店も大きくなった。
繁盛して自分の事のように嬉しいね。


「オニーサン!!」


振り返るとタンさんがいた。4年ぶりなのに、まるで昨日あったみたいな親近感。満面の笑みでこちらにやってきた。「ひさしブリーネ、あえてウレシイデス」
(僕のこと覚えています?)
「もちろんいつもオシャレな〇〇のオニーサン、おかえりなさい」
タンさんはどの客にもフレンドリーで接客で有名で常客には「いらっしゃいませ」でなく「おかえりなさい」と言う。”おかえりなさい”ってメイドカフェしか最近言わない。

これぞ、商売人の鑑、うんうんと感心
(久しぶり元気だった?)と久しぶりにタンさんと握手した。固い感情のこもった握手である。

チュ


へ!?

タンさんはそのまま私の手の甲にキスをした。向いに座っている連れの女性もあまりの出来事に呆気にとられている。
そりゃそうだ・・・・
「オニーサン味付けは大丈夫?」かいがいしく僕に聞いてくるタンさん。本来、相手されるべきなのは女性のほうなのだが、彼女は素無視である。しかも、また手の平にキスされた合計4回も手の甲にキスされてしまった。柔らかい唇の感触がなぁ・・・妙に印象に残ってしまった。

明らかに、周りの客よりも手厚い接客に浮いてしまうぐらいである。かなり接客を盛ってきますタンさん。「豚足コラーゲンたっぷり、お肌にいいね!」
(それは女性に言うべきセリフだ。)


僕に会ってそんなにスキンシップまでして、喜んでもらえるなんて今は実家の犬ぐらいだよ。

(これ実家の犬)







「ねぇ、タンさんってアッチ系?」
(今、僕もそう感じてきたよ)
ま、料理は美味いそれでいいのではないか