秘密のワインバーとおかまちゃん

僕は今日おしりあいになった、ある方に紹介されてワインバーに行く事になった。実は私はワインバーを探していたので、男の提案を二つ返事で答えた。
その男は手早く携帯でその店に連絡をした。どうやら行く前に連絡をするのがその店のルールらしい。


自分にしっくり来るワインバーが神戸にはなかった。神戸にありそうなんだけど、どうも見つからない。東京にはアナザードアがあるが、神戸にはその手いい感じの自分が求めているスタイルのワインバーがなかった。やはりアナザードアは至高であり、無理な要求か・・・僕は半ばあきらめていた。
結果的に秘密の隠れ家でありワインバーでもある場所を見つけた。
しかし此処は店と言うには特殊すぎる。

店には看板はない、
神戸の街の中心から少し離れた味のある商店街の近く
とあるビルなのか住居なのか判らない建物の4階
絶対見つけることはできない深い闇の奧、部家を入ると暗い空間であった。目がなれて来てよくみると、黒い壁と間接照明のろうそくが、低い位置でゆれていた。おしゃれな空間は暗い。鉄則のようなものだ。壁には植物標本のスケッチが額縁にはめられて飾られていた。あれはトアウエストの気合の入った雑貨屋でも見た事がある。古いミシンテーブルを使ったり、味のある木箱をテーブルに使ったり。細部まで突き詰められている。プロの仕事だ!しかもかなりハイセンスだ。その空間は、まるで雑貨を極めた女性が開く感じのいい雑貨屋のようであった。
こんな庶民的な商店街にこんな空間が?私は少し興奮した。
そして奥の小さな木製のテーブルには女性でなく、白いTシャツの巨漢の男が座っていた。机がよけい小さく見える。
「あーらいらっしゃぃ、まてたわよおー」
巨漢の男は、イメージをはるかにぶっ飛んだハスキーな声だった。(おかまちゃんだ!
その声に促されて、すわり心地のよいふっかふかのソファーに席に座った。ワインは詳しくないらしい、好きなワインを選びなさいと言われた。
ボトル飲みのみの対応だ、

おかまちゃんと話した。僕は本格的なおかまちゃんと会うのは実は初めてだった。しかし、まったく違和感を感じなかった。そういえば、テレビでもマンガでもオカマちゃんは今や必要不可欠なキャラクターである。マンガでみたとおりのオネイ言葉をしゃべるその人は、ずっと前から知っていたのかも?と勘違いするぐらだった。
言葉もしゃべり方も、イメージどおり。ワンピースのMr2ボンクレーそっくりだった。

でもオカマって異質な存在だけど、なんか超越している。三輪さんみたいに、
価値観も考えもやさしさも超越している。だから男も女もどっちにも好かれるおきて破りの存在なのだ。その人も人目見て、なんかすごかった。悩みを相談したくなるぐらい、人情味があふれた男だった。
「レディーとおよびなさい!」
すいません・・・だって見た目が・・・

そして、今までの傾向どおり僕はおかまちゃんにとっても気に入られた。
「いつでもきなさい」とても優しい目で僕にその店のアクセス権を僕に渡した。

今度誰か誘ってこよう