危険な日曜日 2

かつて3年前いや2年半前
北野の街からホシヨミは消えた。かつて彼女がいた雑居ビルはキレイさっぱり取り壊されて何もなかった。
さて彼女は何処へ消えたのだろう?
彼女の顔は信じられないぐらい白く、彼女ほど細い人間は見たことが無い。細過ぎて肩がわからないぐらいだ。不健康の見た目から何かしら患っていたようだから、大丈夫だろうか?本当にこの世から存在が消えている可能性も否定できない。

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まずは、ネットの海から情報を拾うか
世の中何でもネットで調べれば出てくる。なんて甘くない
世間でわからないことは、ネットでも表向きは解らない。消えた年金の行き先とか、XXとか○○とかさ!
検査用語から情報をたどっても、同じサイトをぐるぐる回ることとなる。検索のやり方に閃きが必要だ。ホシヨミの真の名も解らない、その存在もきわめて曖昧だ。しかし、街の噂の片鱗にそれらしき、痕跡がある。ホシヨミはこの街トラブルシューターをやっていたようだ。そういえば・・・そういう事言ってたっけ?「ヤクザの街でよくやるよなぁ」俺言ってたな。どうやら彼女が姿を消したのはその筋では、衝撃だったようだ。
ほう、ご丁寧に掲示板で聞いている人間がいるな・・・2008年に元町で商売を再会したようだ。それにしても元町のジェムだぁ?その手の連中の最大会派だぜ?

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元町に来てみたが・・ふうむ2010年現在、ホシヨミはその存在は無かった事になっていた。おかしい?その店もそのビルも無い!!うぅ、元町商店街のにしむら珈琲でいったん考え直しだ。にしむら珈琲のモーニングは美味しい!高いけど。
ふりだしに戻ったが・・・俺は何としでも探し出してみせる!今の俺には強い意思が宿っていた。それにすっげぇ楽しくなってきたぜ。今の仕事を始めてから、自分のリサーチ能力が格段に上がっているのが今日実感できた。ネットの海から情報のしっぱのハシっこを掴む、聞き取りと実地で実体を引っ張り出す。
そして俺は見つけることが出来た。ホシヨミは俺が必要な時に絶対現れる

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湊川商店街・・・夜の街に住むホシヨミがこんな庶民的な場所にいるかねぇ・・・?私は湊川まで来た。
この、地下だろうか地上だろうか?1階だか2階だかわからんごちゃついた湊川商店街を書いたメモの住所を頼りに歩いていた。
電話番号も書いてあったが、電話してみても、電話に出なかった。しかし、電話は止められてない。まだ生きているようでひとまず安心した。話に寄れば不安は的中し、ホシヨミはしばらく重い病に臥せっていたようだ。そして、この街で最近営業を再会したそうだ。
(とりあえず、書いてある住所に行ってみればなんとかなる。いやなんとかなるはずだ)今の自分の迷いはなかった。外は強い雨が降っていいたが気にせず、自分の足と目で確認しないと気がすまなかった。

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住所の場所は昔ながらの市場だった。ほんとにここか?はじめは何かの間違いであろうとおもった。だって魚とか肉とか豆腐とか売ってる最近てんで見なくなった『市場』だ!これは?
市場の奥を進んでいくと、安っぽいアルミの扉があり、扉の前には蛙の置物が置いてあった。蛙!入り口の蛙はホシヨミの印だ。間違いない!此処だ!

前からそうだが、意外なところにいるのがホシヨミらしい。
ノックをして安っぽい扉を開けてみた。
「あ!あんたは!」
「覚えてます?」
「ああもちろん覚えてるさ!ま、立ち話もなんだら入んなさい。」
「でもまあまあよくここが解ったねぇ。諸事情から三ノ宮を去るときには連絡できなかってねぇ。入院もしてたし」
「3年ぶりですか・・・でも昨日あったみたいによくはっきり覚えてますね」
「あんたと私は否定しがたい強い縁があるからよ。・・・だから北野坂のローソンで出あったのよ」
「懐かしいね」
「あのあとずいぶん気にかかってたのよ、だから忘れもしないわ」
「体を壊したって風の噂で聞いたぜ。あ、これ商店街で売ってたおいしそうな『はらドーナツ』お土産にどーぞ」
「おおおぅサンキュー」
「体の具合は大丈夫なのかい?」
「大丈夫じゃないわよぉもう死ぬかと思ったわよ。もう右耳も聞こえはしない。難病らいしいね」
懐かしい話をかなりした。
CDからは相変わらずスティービーワンダーがかかっていた。

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さて、じゃあはじめようか・・・ホシヨミはひととおり話し終えると、何も私から聞かず当然のごとく準備にかかった。
「あんたの為に、コイツを使おう」
ホシヨミは目の前にあるカードを差し出した。
「かつて、業界で危険すぎて禁じ手とされたブラックカードだよ。絶版で手に入らないとされたが、なじみの客がヤフオクで落としてくれて、プレゼントしてくれのよぉよくやるねぇ」
「うわぁ禍々しい」
「元町の連中はこれを私から盗もうとして、大変だったのよぉ」
「おー怖えぇ」
「左手を出しな」



・・・・・・

また来る事を約束し、ホシヨミの部屋を出た
ホシヨミは扉から出て、私の姿が消えるまでずっと手を振っていた。
(彼女は死の病に侵されている。言わなかったが私には解る。存在が半分闇に引かれている)
あれほど冷たく激しく振っていい雨は止んでいた。
雨上がりのごとく、自分の中の狂気も、縛るストレスもすっきり消えていた。

目に見えるものは幻であり
自分の心に映るものは、自分自信ではどうしても解釈できない
そもそも解などない。でもどうしても答えが欲しいなら
潔くいい加減に他人に決めてもらうのも、正しい。
ウラノウラハオモテ

ハハハハ、笑えるよな。