東京の一日

「例の件の返信を・・・って形で返してください。あと現地の○○に一度連絡を取って確認」
新宿を歩きながら電話で、本社に指示を出す。歩きながら、先日の問い合わせのの回答を考える。
そのままビジネスセンターまでいってLANを確保、無線より有線LANの方が確実でいい。今の東京ならアクセススポットを捕まえるのはたやすい。時代は変わったもんだ。
ノートパソコンを起動させてメールを確認。重要な案件に関して、手早く返事を送る。送りながら電話で取引先を1件ずつ電話して、昨日の問い合わせを片っ端から片付ける。
なんで、出張中に限って問い合わせが増えるかは謎だ。
10時半のアポイントまでに片付ける。今日は何件もアポが入っている。


こんな見晴らしのいい、大きなビルの会議室で何してんだろう・・・
ときどきふと思う。
目の前には私よりもはるかに年長者と思える人ばっかりだ。気前よく私はしゃべっているが、本当に申し訳ない。
自分の自信なんてほとんどハッタリだ。一人じゃ何もできない


昼食は六本木ヒルズだった。うそとハッタリのセレブの城。その見晴らしのよいレストランでえらい人と食事をする。
話は、もちろんビジネスの話。多くのこういう人たちは、そのような話が大好きだ。庶民には、本当に夢物語だ。
しかし、目の前に一つ事実がある。
眼に前のいる、このアイライナーのきつい女性は代表取締役をしてるって事。
そして、私と年が変わらないって事。
何が違うって?たぶんそれほど違わない。ひとつ言えるのは私より少しばかり真剣に生きているって事だけ


名刺交換ばかり、いろんな人と会う。彼らから私はどう見えているだろう?大方ろくでもない男だと見えているだろう。
それは、たぶん当たっている。そうです。私は『ろくでもない男』です。


夜はとってもえらいひと食事だった。もう勘弁してほしいが、かれらの興味の一つでも惹くような会話をしなくてはならない。
そこで、出た話はM&Aの話だった。こういう人たちが夜な夜な服を買うみたいに、会社を買う。
だけまなさん頭はいい。もうゾッとするぐらい、
ご飯の味なんてしなかった。


「●●って会社知ってるかい」
「ええ、知ってますよ・・・以前の会社で取引しましたら。」
「いやー買おうかなって・・・いい技術持ってんだけど」
「そうですね、あそこの研究者とはよく話をしました。山田いう腕のいい研究者がいます。もう定年すぎて御年を召されていますが、いい仕事しますよ。」
「そうか・・じゃ*****」
「御随意にそうとりはからいます。」