another door
夕暮れの代官山。代官山は夕暮れがいい。ずいぶんこの街も変わったが・・・しかし変わって欲しくない
ずっと在って欲しいものはある。いつもながらanother doorの扉を開けるには何かしらの決心が要る。
スタバみたいにテクテク歩いていって、スっと入るわけには行けないdoorなのです。私にとって、それはとても大切で慎重かつ厳かな存在なのです。心ののなかで礼を尽くし、扉を開ける前に一つ呼吸をして一度考える。たまにまだ自分の中の準備が整っていない場合がある、そういうときは少し付近を散歩する。
そして、じっくりと考えてなじませて、私は扉を開けるのですanother doorを
私にとってanother doorはもはやCAFEではない。
暖かく輝く古い品々と溶け込むようにその奥のカウンターには扉の管理人がグラスを磨いていた。
扉の管理人は私を見ても断然意識せず何も言わず、そのまま空間を眺めていた。客は誰もいない・・・静かでゆったりとしたブルースだけが私と彼との間の空間に存在していた。
「こんにちは、何か頂けますか?」私はカウンターごしに言った
扉の管理人は私の顔をしげしげの眺めながら言った
「お久しぶりですね・・・すいぶん前から経ちましたね・・4年ぐらいかな」とても優しい声だった
「ええ、やっと此処に戻ってこれました・・・・」そして、何かいろいろなものが込み上げてきた。
多分覚えてはいないだろうと思っていたけど、どっこいしっかり覚えていてくれたのが無性にうれしかった。
泣けてきた・・・僕は泣いていた。此処は私のとって『大切な場所だ』
何もしない、ただ空間を感じてそこに身をゆだねるのが、うれしくて、うれしくて仕方なかった。
窓から見える代官山の夕暮れをずっとい眺めていいた。ワインを飲みながら日が暮れて完全に暗くなるずーと窓を眺めていた「いい気候ですね」
「ええ・・・窓が全開できる数少ない期間ですから」外を眺めながらゆっくりと扉の管理人と世間話をしていた。素晴らしい御方だ彼は
「ウチもこの界隈でも古株になってしまいましたよ。飽きられないよう、みんな必死なんですよ。」
東京は哀しいな・・・それがいとおしい
多くを考えた、
いろんな人のことを想ってみた
次から次へと
いろんな人が私に会いに来た
4年前の自分自身にも会った
ずっと座っていたかった。
此処を去らなければいけないのが切なかった。それはとってもいとおしい自分ではない表せない感情だったが・・行かなくは・・・
ワインを全部飲んで、覚悟を決めた。
よし明日も生きてやる