16く、空気が・・・・

さすがに世界遺産に続く道、日本の道路並に整備され、でっかいトンネルもある。
バスの曇ったまどが少しずつ微妙な違和感を出し始めた。

まだ張家界の街を出て15分ほどしか経ってなかったが
二つ目のトンネルを抜けたとたん、空気中の水分が一気に凍りついた。
あが・・・・うわぁ・・・・冷たい雨が・・・ついに全て雪になった。
ついに今までじんわりといたぶっていた寒さが牙をむいた感じだった。

そして、武陵原の入り口につく。見事なシーズンオフ真っ只中。闇が迫る雪の武陵原に一人下ろされた。
(だれもいやしねぇ・・・しかも、怖いぐらいに静かすぎる・・・・)
目の前に寒々しく存在するコンクリートの3星ホテル。どうやら選択肢がなさそうだ
店は9割閉まっている。
バスがついて、客を乗せていたのを目ざとく見つけたホテルのおっさんが手招いている


「いくらだ?」
いろいろ交渉した。もう客なんて一人もいないようだ、電灯すらつけていない・・
ほんらい後ろの料金表にはハイシーズンなら600元らしいが、
「100元にしろ嫌ならいいよ」
唯一の客を逃すぐらいならと渋りながら承諾

本当に人の気配が全く無かった。こんな中国の奥地に、幽霊も怖がるようなホテルで独りかぁ・・・彼女らに心をもらってなかったら確実に発狂してるな。もう、日は暮れかかってる。何もする事が無い。今から、雪の武陵原に入ったら、命の保証は無いだろう。


雪は音を喰う・・静で荘厳な山と雪をロビーで眺めながらボーっとしていた。そこにさっきのおっさんが玄関に立ってタバコをふかしていた。おっさんでも、視界に人がいるほうがいい。そこで、ここであれを使う。そうタバコだ、おっさんに日本のたばこを勧めるる。すると喜んでくれる。
彼はどうやら、ここのホテルの総経理らしく、どうやらいちばんえらいらしい。かれは、いたくこの中国式の礼(たばこワイロ)に感激した。
「君は外国人だが、どうやらわれわれを理解しているようだ、大変結構」
(というような事を言っていた)
「君のホテル内で事は保証しよう、何でも私に相談しなさい」

その後この何も無いホテルでいろいろ気にかけてくれた
「メシは食ったか?食えるところに案内するぞ」
「女はどうだ?」
とか、いろいろと
もちろん武陵原の事もいろいろ教えてくれた