祖父と瀬戸内海

zex2007-04-29

病床の床にいる祖父の見舞いに行った。
座して死を待つという、とてもやりきれない状況だった。
死の床につく人の言葉は重たかった。
まるで、ドラマか映画のような状況が本当に来るとは・・・
初めての経験だった、徐々に人の命がどんどん弱くなっているのを目の当りに何も出来ない。
それは、自然の摂理と言えばそうかもしれないが、やりきれない。



海を見て精一杯いきたじいちゃんその病床の傍らに飾られている、写真が人生を物語っていた。
彼は昔話のようにゆっくり、喋った。「ローライフレックスはシャッターの音がええんじゃ・・・」
搾り出すような言葉だった。その他いろいろ喋った。本当はもっと伝えたいことがあったのだが、伝える力が無いことを心から悔やんでいるのが私にも感じた。
写真に関して的確に、無駄の無い助言だった。ボケなど微塵も無い。自分のなすべきことを定めて走り続けたのだろう。
毎日
毎日


瀬戸内海は青かった。
たくさんの島の間を行き交うフェリーを眺めながらふと、思った。
彼がなくなっても彼の写真はなくならない。


「写真は人に始まり、人に終わる・・・」

最初で最後、祖父が私に教えたことだった。