偶然をなめてはいけない2(しかしそれはあんまりだ)
(なんでおまえがこんなとこおるんや!?)
(なんでおまえがこんなとこおるん?・・・)
顔を付き合わせて、今両者は同じ事を考えている。数あまたの偶然が重なって今対峙したこの場は、
ヒジョーにキマズイ感があった。
よくわからない求人雑誌のインタビューに来たのが幼馴染
求人記事を書くためにインタビューする担当者が幼馴染
ただの知り合いではない・・・”おさななじみ”だ
一緒の幼稚園に手つないで入園した仲
掃除したて床にすっころんで血だらだら流した俺を、大人を呼んで病院に連れて行った仲
仲良くウチの犬と遊んだ仲
サッカー部でパス練習のペアだった仲
震災で倒壊した瓦礫だらけの世界を一緒に歩いた仲
その他もろもろ・・・
根本から知りうる両者ただならない因縁がある。
高校から別々になって特に連絡を取っていなかったが
ゆえに一目見るだけで両者が認識できた。
グハァ
ブファァ
お互い噴出す。
両者苦笑い・・・笑うしかねぇよなぁ
両者の同行者に
どうしたんですか!?と焦らられる。
「幼馴染です!」
「幼馴染です!」
しかし、ただ家の近所で1体1で出会うならまだしも・・・今、お互い食っていく為の立場がロコツに存在している。
周りに有る程度示しを行わなければならない立場
業務を説明し打ち合わせをしなくてはならない立場
自分の後ろにある『会社組織』の利益を確保しなければならない立場
おたがい知らない
みらたくない
ぶざまで
恥ずかしい
会社の顔を、お互い曝すはめになった。
「写真とらなあかんねん・・撮っていいか?家に山ほどあるけど」
「そんなんおれんちにもあるわ」
「サッカーやってんの?」
「やめたよ・・・・・・・」
顔に刻まれたその雰囲気が両者の全てを物語っていた。
あれだけ好きだったサッカーを・・・・
少なからずショックだった。
しかし、状況はのんびり昔話をているわけには行かず。
((運命のいたずらだって!これはあんまりやろ!))