火星戦記(キングオブSF漫画のはなし)
(まだやっていたのか・・・)
本屋を散歩していると、懐かしい漫画を見かけたので思わず手に取った。懐かしいといっても古本ではなく、新刊で話も新しい。それは、僕が中学生の時代から連載している「銃夢」だ。
SF漫画としては大作で評価は世界中で高い。雑誌の帯には”ジェームスキャメロンが映画化を切望”と書いてある。私は旅先の中国でも見かけたこともある。世界中に翻訳されているのだろう。
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日本ではもっと評価されてもいい漫画だが、表現がグロいせいと、作者のこだわりが強い(それがこの作品のすばらしさなのだが)せいで出版社とイザコザがあって世に消えたもの思っていた。
この漫画の凄いところはSFとしては王道で、キングオブSF漫画といえるところだ。
・ サイボーグ技術
・ ナノマシン
・ 遺伝子操作 (クローン技術)
・ ハッキング技術
・ 宇宙開発
・ 光学迷彩 等々
などなど、今のSFとしてはメジャーな設定を全て20年前から表現している漫画で世界観がしっかりしている。
正確なカテゴリーは”SF格闘漫画”という今時見ない設定でサイボーグ技術を駆使した「超電磁空手」や「機甲術」などが、うさんくさい科学解説つきで行われている。
今のSFは何か型にハマった感じがあって、何かしら現代人の”共感”を得ようとするが、銃夢を含め昔のSFは、無限の想像力でぶっ飛び科学の世界を想像しているので、面白い。
細部はともかく、理屈は成立していたりするので、大人になった今思うのは、著者は書く際に、参考資料として、膨大な科学技術の資料を読み込んで物語をつくっているのだろうとおもう。連載は遅いが、昔気質の手間がかかる丁寧な作品造りをされていると感じれることだ。大人になって読むとそう感じるのでした。
また、終始一貫して難しいテーマ「業」について探究している。業とはカルマであり、表現が難しい。詳しくはウィキで読んでください。
すごく哲学的な話で、子供のころ何度読んでも解ったような、わからないようなしっくりこない感じが残った。
機械の体があってロボットと人の境界線は何処か?ここは「攻殻機動隊」も追及しているが、僕が思うに「銃夢」の方が早くて、切り込みが鋭い。
・ 生身の体に脳だけバイオチップに変わった人間は人なのか?
・ そもそも生命の定義とは?
という考えると頭がモヤモヤしたものだ。
これからアニメ化は絶対無いだろうと思うけど、大人が読んでも何かしらのインプレッションが得られる作品だと僕は思う。