元ゲリラの男

僕はとあるミャンマー料理屋で昼ごはんを食べていました。
店員さんと仲良くなり、談笑していた時だった。奥から鋭くまっすぐ見据える視線を感じた。


『ああ、彼はコックですね。さいきん日本に来た』

ウエイターはコック紹介してくれた
・・・何か違和感のある。人間らしいしぐさが一切ない。しゃべることなく動物のようにターゲットを見据える直線的な目。(私何かちょっと悪いことしたかな?)


 この感覚、彼は多分元軍人でゲリラだろう。僕は直感的に察した。何故わかったかというと、高野秀行さんのミャンマー関連の著書『ミャンマーの柳生一族』、『西南シルクロードは密林に消える』で描写しているゲリラや軍人にそっくなのだ。それは実戦を経験していない自衛隊の人から感じない感覚だ。密林戦を実際に経験して、生死のやりとりをしてきた。


 彼の出身は?
マンダレーの郊外だよ・・・
そうですか・・・
それ以上聞かなかった。