ちょっとした物語

※今日はフィクションを書いてみました。ちょっとした思いつきです。

良く晴れたゴールデンウィークの中日の話。朝、10時ごろだっただろうか、僕は一通り洗濯物を干して、昼ごはんの準備でもしようかと考えていた。村上春樹の小説の主人公のようにスパゲティーでも茹でながら好きな本でも読もうかと思っていた。ニンニクを効かせたペペロンチーノをつくって、大好きなハイボールも入れてだ。JAZZでもかけて一日を丁寧に生きる。最高じゃないか!そんな感じで僕は近所のスーパーに買い出しに出かけた。

買い出しの途中、4か月ぶりに連絡があったとあるberのマスターから”ビールを飲もう”と連絡を受ける。青空とビールという組み合わせは非常に否定しがたい魅力に溢れていたし、断る理由が見つからなかった為、僕は計画を変更してビールを飲みにいくこととした。そこまでは良かった。しかし、何故かその日は謎に包まれた日となった。


 僕とマスターの気分は青空ビールのはずだったが、そこにアオキのお姉様から切実なお願い電話が届く。『料理合コン』に参加してくれないかという話だ。話せば長くなるが、アオキのお姉様は、マスターの知り合いで、僕も彼から紹介を受けていた。結婚相談所の方で、50代以上になるが、見た目が不自然に若い。僕は悪魔と契約しているんじゃないか?と疑っているぐらいだ。そして、物腰柔らかな笑顔で強烈なプレッシャーを僕らに欠ける御方である。アオキのお姉様に睨まれるとあとあと不味い。僕はそのアオキさんに、某会社の婿養子に叩き込まれそうになった苦い記憶がある。『どうだった?』聞かれると筆舌に尽くしがたいし、かなり忘れたい内容だった。あえて書くなら、僕はそのとき宮崎駿の”シュナの旅”の奴隷狩を思い出していた。そして、本能的な危険を察知して、緑の巨人ならぬ”赤いフェラーリ”がある大豪邸から脱出したのを覚えている。あれは、かなり危なかった。

シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))

シュナの旅 (アニメージュ文庫 (B‐001))

 話は長くなったが、そのアオキさんから合コンの頭数が合わないからというので急遽参加のお願いである。”何かある”と僕らは感じるわけだが、ひどい事を書いたがアオキさんは悪い人じゃないどころか、普通に知り合いとして付き合う分には問題なく、素晴らしい方である。しかし、年ごろの男を結婚に叩き込む時は、目つきが変わる。ある意味冷たく無慈悲だ。


 僕ら結局、その奴隷狩りのアオキさんのところへ行くのである。何故か?要は僕ら暇なのである。


(つづく)