若者は海外へ出るべきという私なりの答え

 うちの会社に新入社員が入った。話を聞くと有名国立の院生など『ああなんてハイスペックなんだろう』と思う。中小企業といってもいいくらいな我が社でもこのクラスである。就職難なんだろう。普通の学歴の人はさぞ苦労しているだろう。

そんな就職難に、立派な企業人や成功者のアドバイスは海外は若いうちに行くべきだと口にする。
しかし、具体的になぜ?若者は海外に出なきゃいけないのか?なんぞいい事があるのか?そこがけっこうボンヤリしている事がある。なので僕は下の年代に気安く海外に出ることをを勧める気にならなかった。旅人たる僕でも、本当にそれがその人にとって海外に出て旅することが人生にとって良い事なのか判断しかねていた。人間知らない方がいい事もある。僕もウッカリあの鑑真号に乗ってしまったばっかりにその後の人生が少しおかしくなったと思う。あれさえなければ結婚して幸せな家庭を神戸で築いていたかもしれない。


 しかし、いろいろ考えた末、僕は後輩に『やっぱり海外旅に出て機会があれば海外で仕事すべきだ無理にでも』という事にした。なぜならば



 若いときこそ好景気の成長拡大期の環境で仕事をすべきだと思うからだ。


僕らは好景気を知らずして大人になってしまった。それは惨めなことで大きな機会損失と
将来を毀損している。日本で好景気が手に入らないなら、他の世界に行けばいい。少なくともそのうち『日本の景気は良くなる』というのウソだ。大きな詐欺だ。

僕ら30代はこのウソで痛い目にあっている。


戦後ゼロからの挑戦―総合商社マン回顧録

戦後ゼロからの挑戦―総合商社マン回顧録

 1ドル360円もした時代で海外で活躍した商社マンの自伝であった。読んだ感想は、戦後の仕事って何もないけど、すっごい楽しいことやっていたんだなと思う。高度成長期の仕事ってのはある意味仕事の中に幸せがあった思う。今なら通らない類の仕事が多いが、昔の商社マンは海外を楽しんでいたと思う。1億の失敗をしても、まぁしょうがないと言って納得されていた。これが好景気である。若者はそこで攻めの仕事とチームワークを学ぶのだ。
 
 純粋に仕事に没頭できる環境というのはやっぱり好景気で高度経済成長の中だからこそあるのだ。今の日本の仕事は残念ながら重箱の隅をつつくような細かい改善とコンプライアンスという無言圧力に気を使いながら仕事をしなくてはならない。そこに、若者が得意とする自由闊達な無謀さが一切発揮できない。いくら給料がよくてもこれでは将来に不安を持つのは当然である。

 ベトナムの工場で聞いた話だが、何もなく技術も未熟で問題も多い。もちろん日本の方がいいですよね?と日本から出向している工場長に聞いたところ意外な答えが返ってきた。『ベトナムの方が良いなぜならば、スタッフがみんな若い』ベトナムにはできない事はたくさんあるが、社会が若いのだ。圧倒的に日本に比べて若者が多いのだ。その未来に希望があふれている雰囲気が、日本の便利な環境を差し引いても魅力だそうだ。


 そんな、給料が安くても希望が溢れる環境で一生懸命働いてこそ価値がある。
 

だから僕は言おう。給料は安くてもいい、景気のいい途上国で仕事をすべきだ。
好景気やバブルは時代から与えられるものじゃない。自分からゲットしに世界に旅に出ろ!