忘れていた激情と後悔

『髪切ったのね、やっぱそっちのほうがいいよ』
彼女は言った。
私は髪をばっさりと切っていた。
『いつもショートかくくっているのに今日ストレートだね・・・いい感じだ』
僕は言った。お世辞でもなく本気だった、そして今までとは別格な美しさがあった。


奇しくも、持った相手のイメージがチェンジしていた。
そして、それはお互い違う道を歩み始めたという事を偶然にも示していた。


『さよなら』小柄な彼女を抱きしめた、その時
自分のどうする事も出来ない形になってしまった事を私は理解した
動かし難く覆らない事実として、もう『彼女は自分のものにならない』という事だ
あらゆる、可能性は一瞬にして消えた。


そして、透明の水が黒く汚染されるように、心が何かに浸食されていった
どす黒く、耐え難い



失恋とはこういう感情だった。
そして、失うと人は本当の大切さに気づくのだった・・・
何が”失うと人は本当の大切さに気づく”だ
こんなベタな失敗あるかよ、フザケンナ!!



ふざけんなよ、このくそ野郎。