8年前の旅を思い出して記す

Jazztronik JTK mix (yume no tuzuki) : 「今日は独りで行動してごらん」
私を海外に連れ出した、書庫の王は私にそう言った。

ツアーの3日目は自由時間だった。お昼からどこへというわけもなく、私はとりあえず香港のトラムに乗っていた。
かの有名な香港の2階建て路面電車である。

トラムに乗って外を眺めていた、
夕暮れの日差しが街を照らして、まるでおよそ日本では考えられないような汚ない、ビルや路地が溢れていた
そうすると何とも言えない感覚に襲われたのだ。


(何処へ行くのだろう?)
(何処へだってだっていいじゃないか、少なくともここは違う世界だ)


勝手に言葉が溢れてきて、なんとも耐え難い感動のような感情で満たされた。
それは、今まで感じたこと無い『何か』だった。
私は確実に体と意識が別れてしまった感覚が来た


『そうだ、これが世界だ』


私ははっきりとそう聞こえた。宗教的な表現で行くと天の声のようなものだ


書庫の王は私の帰りが遅くてたいへん心配した
「うかつのことを言ったようだ。君に何かあったら親御さんになんと言えばいいか、本気で考えて怖くなったよ・・・」
何も無いですよ・・・





しかし今考えたら、何かあったのかもしれない
その声は私の人生の方向をかえたのだから。