世田谷線

なぜか下高井戸にいた。用なんてなんもない。東京出張したら、少しでも時間があれば、プラプラする。
なぁーんにもしないいんだけどね。
なんで下高井戸なんでしょう?別に理由は無い。
ボーっと突っ立っている私の横を東急世田谷線がギャァーァァーーンと軋みながら通り抜けていった。
世田谷線は・・・なんだったっけ・・・
世田谷線に乗ってみた。吸い込まれるように、夕暮れの人の流れに身を任せて乗ってしまった。
雨上がりの夕暮れだった。
今、この街に帰るべき家は無い。殺風景なビジネスホテルに帰るのは味気ない。
世田谷線のゆっくりしたスピードに身を任せていた。だんだん電車に染み付いた意識が、私の記憶を再生する。
そう、なんか、ちょっとした淡い記憶。

東京に来て最初の冬だった。
当時関東に出てきた時は知り合いがいなくて毎日、東京の街をいつも当てもなく彷徨っていた。別に理由なんてなかったし、行き先もなかった。なんか、地図を見てインスピレーションを感じた付近の駅からスタートして歩いた。京王線井の頭線世田谷線付近はいつもあてもなく、散歩していいた。好きな音楽を聴いて、まったく知らない街を歩くのが楽しかった。
そんな中、私は街で、小柄で艶のある黒髪のショートボブの女の子に出会った。
その後二人はカフェでいつも過ごした。長い時間を一緒に過ごした。
世田谷線に乗って会いに行った。待ち合わせの三軒茶屋
「寒いから三軒茶屋のホームじゃなくて地下街いなよ」そうメールを打った気がする。
律儀に彼女はふきっさらしの世田谷線三軒茶屋の改札にいた。
お互い少ない時間を大事に、一緒にカフェで過ごした。

ま、もちろん見事にふられたんだがな
ガハハハ