セブンイヤー・イン・チベット

チベット ラサ
ゲストハウスでのこと


「これが、小説版だね。実際はまったくゼロ装備でハインリッヒ・ハラーはヒマラヤ山脈を越えたそうだ。しかも、追っ手が迫っていたので街道は使わなかったし、白人なので目立つので移動は夜。恐ろしく過酷だ。岩の窪みで夜を明かし、食料もろくに調達できない。まさに超人だな。」
ぼろぼろの小説を出してきた。

初老の日本人旅人はそういった。
雰囲気から察すると、かなりの腕だ。もう日本でまともな生活ができないくらいに。
外国人非入境地方のチベット東部のカムを旅行してきた男。
公安に追われて野宿した男
頭を剃り衣服を現地のものに変えて僧侶にカモフラージュしている。(喋れば、ばれるそうだが効果は高い)
正気とは思えない危ない事を平然とする男
チベットダライラマ14世の写真を持ち歩いている男(つまりこの国で投獄されても文句はいえねぇ)


旅先で噂される。世界一無謀で強力な旅行人種。それはフランス人でもなくアメリカ人でもない。欧米人も恐れる最強の旅行者『レギュレーションの外れた日本人』
ある者はイラクに入国して殺され
ある者はリヤカーで砂漠を横断し
ある者はヒッチハイクで世界一周を目指す

その彼が持っていた本が欲しくなったので、探してみたが絶版になっていた。セブンイヤー・イン・チベットの原型小説版。
なぜ人々はチベットに惹かれるのだろう


その男、公安に追われたとき、チベタンのおばちゃんにかくまわれた。彼はお礼にダライラマのの写真を見せ。チベタンのおばちゃんは涙をぽろぽろ流して手を合わせた。この国が侵略された国だという悲しい事実がよく解る。「すぐ、しまいなさい」とおばちゃん言った