華僑の街

「そうですか?こういう事はありませんか」
「あなたにはこの薬とこれを処方します。」
ヒヤリングはとても詳しい。確実な仕事をしている感がでていた
結局、見つけたのは華僑の医者がしている診療所だった。


 神戸大学を出て、日本の総合病院に勤めて、という経歴が張ってあった。日本語はいたって普通。いや、彼らは神戸で生まれ育ったのだから当然だ。しかし、中国語も話すし英語も話す。処方薬剤も使うし、漢方薬も使う。ケースバイケースで使いこなす。客も結構多く、待合室には日本語、中国語(よく聞くと広東語)、英語が混ざって聞こえてくる。診療所は街のお医者さん、眺めていると街の姿が見えてくる。




 せっかく平日の朝に街にいるということで、普段いけない郵便局とか銀行とかの用事を済ます。病院のそばに郵便局があった。


「すいません、教えてくれません? あのー転送届けって解除できますか?」
「ああ解除ってのはないなぁ・・」
「実はかくかくしかじかで・・・」
「あるある、最近よくあるんだよ。よ、そういうときはねぇ転送届をもう一度逆に書いて出すんだよ。」
「最近銀行も融通が利かなくてさぁ」
「そうやろう、こっちもいちよう本人確認させてもらってんねん。悪いやっちゃがおってな。他人の転送届けを好き勝手出すやつがおるねん」

街の暇な郵便局は、いろいろ親身なって教えてくれる。世間話もいつもの事