意味合いが無い

《お疲れ〜ひさびさにメールしてみました。最近、仕事とか体とかどう?》
・・・・・・・
世の中に、たいして用事も無く、メールが出せる素晴らしいセンスをもった人種がいて、私は残念ながらその種では無い。


(単刀直入に聞こう。なんか用か?)
《な〜んにもない。ボーダフォンからソフトバンク変わったから!意味わかんないや》
・・・・確かに意味わかんない。しかし、微かでも必ず理由は有る。久しく連絡を取ってない人間にメールを出すには、何らかのきっかけが必ず存在する。そのきっかけはしょーもない事でも大事でも。あのひとなら、なおさらその可能性は高い
《ほんとだよ、何か話があったわけじゃないだ。》
あったんだろう。だけど、気になる何かや、悩みがあったとしてもメールにはそんな力は無い。かつてお互いの長いやり取りの経験上解っていた。
《いまな、テレビで・・・・ってやってんで知ってる?》
(あいにくテレビは見ていない)
話題がやや強引な気がする。私自信に関係付けがありそうだけど、それは将棋の桂馬の動き方のように無理矢理だ。わざわざ話したいだけでメールをする相手は他に確実にいるだろう。わざわざその相手に私を選ぶ事はあまりにも不自然で、・・・意味合いが無い。何かあっても何もしてあげれないし、あっちもそんな事をこれっぽっちも期待していない。
携帯メールにはそんな力は無い。
もちろん電話にも・・・・話題を提供しなくてはいけないか・・・・



(こっちは本当に変わりない、変わったこと・・・・ウチに犬が死んだよ・・・・)
《・・・・・・そう・・・・あの子が・・辛いなぁひとんちの犬の話で泣くとは思わなかったよ。いろいろ昔から・・犬って人間語が話せたら「調子悪いねん」っていうやろに》
(たしかにかわいそうだと思う、けれどそれは運命・・つまりサイクルだよ)





それ以来メールは返ってこない、多分これからも返ってこないだろう。