街の縁

 自転車があれば、普段行こうとも思いつかないところも行くことが出来る。
 たとえば電車で三宮まで出てきたとしよう。まず電車賃分の用事を済まさなければ浮かばれない。なので、とりあえず目的地があって用事を遂行することを第一優先事項とする。無駄な動きは体力と貴重な休日の時間を奪うだけである。

つまり、実はいつも来ている街でも、実際あんまりよく見ていない。観察していない。本質はもっと別なところにあるかもしれない



とある計画を思いついた。
そのために、三宮・元町周辺の地図を眺めていた。人には流れがある。道がある。無意識でも実は定められたルートを通って目的地に向かっている。さて、あえてだ。その意識的なルートをキャンセルして、注意深く観察して歩いてみよう。それが散歩というものだ。

このエリアとこのエリアを地図で描く。筋一つ超えればまだ古い住宅が残っている。繁華街中心として、その基点から一駅分ぐらい離れた、街外れには何か発見が期待できそうだ。

かつてこれはよくある出来事で、渋谷に対して代官山、梅田に対して中津・中崎町、もちろん神戸は栄町が、そこに当たる。ちょっと外側を洗ってみるとだ、ガムシャラな店とか生まれたてのカフェとかが見つかる傾向がある。そこは、完璧『商』に徹した中心ではなく、『住』と『商』がうまく混ざり合ったなんともいえない味わいがある。
より突っ込んだ視点で街を眺めることが可能なのである。